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 『東京クラシック』

 

 今も昔も、東京に何かを求めてやってくる人は変わらず、たくさんいる。

 仕事、大学、目的は様々だけど、毎年3万人近くの人が上京。

 渋谷のスクランブル交差点は1度の信号で3千人。

 1日で50万人。

 

 渋谷は文字通りの谷地形で出来ている。

 そしてその谷底にあるのが渋谷駅。

 夜の渋谷センター街は、

 幾千の人々が渋谷駅へと降りていくその様は、

 まるで地獄みたいだ。

 何もかもが吸い込まれていく。

 その吸収したものから生まれた光が

 渋谷の街を怪しく照らしているみたい。

 

 東京は雨が似合う。

 昇華されたその人々の想いとかなんとかが、

 雨水と共に降ってくる。

 そんな気がする。

 

 ここへ来て何かを捨てた人

 捨てざるをえなかった人

 いつの間にか捨ててしまっていた人

 

 今も昔も変わらないもの。

 ただ、必死に生きてた。

 ポイ捨てされたものに誰かを感じて

 流れる景色が過去になっても

 「 」だけは色褪せることは無かった。

 

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